一般社員の意識も変えるこの取り組みの面白い点は、同行して参加した一般社員の環境意識も変えている点である。山の中で額に汗を流しながら、苗木を植える活動は即効性があり、参加者は社内での環境活動についても前向きになる。 廃棄物の分別を徹底するようになるだけでなく、化学物質審査書類を期限内に提出するようになった。参加した社員の中には自主的に公害防止管理者などの資格を取得する人も出ているそうだ。 このケースは、環境意識を植え付けるというISO事務局の明確なメッセージが、一般社員にも受け入れら れた好例と言える。同社の生産・環境推進部環境シ二アエキスパートの内田信夫氏は、「エコツアーの費用は1人当たり1万2000円程度で済む。環境に関する教育効果も高いのでお勧めしたい」と話す。 先月号でも紹介したが、ISO事務局の継続した取り組みは環境教育の場面でも有効である。集合住宅などの建物管理を手掛けるアーバンシステム(東京都練馬区)は、 5年前にIS014001認証を取得した。その当時から、毎月開いている全社員ミーティングの中の5分間を、必ず環境問題に当てている。 環境目標の達成状況の報告などもあるが、ユニークなのはISO事務局が必ず環境に関する時事的な問題を取り上げる点である。単に話すだけでなく、「環境通信」と題した簡単な資料(A4サイズで1枚)を配布する。あえて資料を作成するのは、ISO事務局が社員に環境問題をより身近にとらえてほしいと考えているからだ。 次ベージの表で示したように配布される資料には、その時々に話題に上った環境用語や、関係する環境イベントの紹介などを書いている。 2006年12月号の「環境通信」では、「『木づかい運動』のすすめ」というタイトルのもと、3枚の写真と共に林野庁が進めている。通常の森林に比べてCO2を吸収しやすい森林作りを紹介している。 「環境通信」は1年ほど前から、一部の得意先などにも送り好評を得ている。2006年9月号でエコファンドを取り扱った「環境通信」を送った時には、不動産関係の主力取引先の部長から励ましの連絡があったという。 同社の小柴卓人社長は、「職人気質の従業員が多く、環境意識を向上させるのには苦労してきた。しかし、最近は従業員が取引先から環境への取り組みを誉められるケースが増えている。環境教育を継続していることで従業員の意識が向上している」と話す。 この数年で急速に広まった環境eラーエングでも、漠然と環境教育のコンテンツを作成している企業が多い。この分野でも何を学んでほしいかを明確にすると、従業員の反応が良くなる。 NTTデータは、グループ会社の派遣社員まで含めるとISO14001の受講対象者が約2万3000人になる。だが、環境eラーニングで99%という高い受講率を記録している。ISO事務局が受講の依頼を何度もするなど地道な取り組みをする一方で、教育コンテンツの良さが従業員に受け入れられている。 2006年度の環境eラーニングは、前年度のeラーニングのアンケート結果やIS014001の内部監査の指摘を参考に作成した。同グループの環境活動の取り組みのほかには、廃棄物処理の法令違反リスクと環境に配慮したシステムの開発に絞ったコンテンツになっている。マニフェストを具体的に説明対象を絞った分だけ具体的な内容になっており、従業員の評判も良い。例えば、廃棄物管理のリスクのペー ジは、「システムの更改時の廃棄物管理」というケーススタディーを紹介しながら、マニフェスト伝票の重要性が示されている。 その次のページでは、このケースにおけるリスクのポイントを示している。マニフェスト伝票の管理義務違反となった場合にどんな処罰が下るか、そのような事態を未然に防ぐには、どんな運用をすべきかを紹介'している。 NTTデータ環境保護推進室の原田彩子氏は、「今回、eラーニングの作成に当たっては、前年に起きた運用上の課題にポイントを絞ったことが93%の受講者の満足度につながった要因の1つだと思う。来年からは、これまでよリー人ひとりのパフォーマンスが向上するようなコンテンツを作成したい」と話す。 環境教育は、ISO事務局の意欲と受け手である従業員の意識の落差が大きな分野である。「環境教育を受けるのは、どちらかと言えば面倒くさい」という従業員の心理を前提に何をするべきかを検討をするとよい。今回のケースに共通するのは、こうした従業員の抵抗感をうまく取り除いている点である。 |
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●アーバンシステム環境通信の主な内容 |
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だが、こうした事件を対岸の火事と傍観できる企業は少ないのではないだろうか。環境法という観点だけに絞ってみても、法制順守が万全と胸を張って答えられる企業は少ないと思う。 環境法は改正が繰り返される上に難解な法律が多く、順守する事項を特定するだけでも相当な力量を必要とする。今回は法制慣守の観点からIS014001認証をどのように経営に役立てるかについて考えたい。 自動車解体業を営む山下(香川県善通寺市)は、従業員7人の中小企業である。2004年2月にISO14001認証を取得、昨年から環境管理責任者を山下智之社長から若手にバトンタッチした。同社では自動車リサイクル法については社員の理解も進んでいたが、そのほかの環境法の理解は必ずしも十分ではなかった。 外部のコンサルタント会社に委託して、若手の環境管理責任者に、関連する環境法や条例の調査方法を基本から習得させている。その結果、新しい責任者は環境関連の法律でわからない点について担当の役所に問い合わせるまでになった。 山下の優れた点は、中小企業ながら社長の法令順守に対する強固な意志のもと、環境法管理に従事する担当者の力量を向上させる仕組みをISO14001に落とし込んだ点である。 環境法の担当者については選任の理由もあいまいで、ましてや力量をチェックする企業などまれだ。現状のIS014001の盲点を補完した好例であり、順法のPDCAを回していく上で、参考にすべき点であろう。 基本に立ち遅った西友「法律を順守しなさい」と一方的に言うだけでは、従義員は何をすればよいかと戸惑ってしまう。まず、順守すべき法律と条文を明確にしなければならない。1997年にIS014001の認証を取得した西友の取り組みを紹介しよう。同社はCSR(企業の社会的責任)活動に本格的に取り組むため、2005年に環境マネジメントシステムを独自に発展させたCSRマネジメントシステムを構築した。 西友は、この新マネジメントシステムの構築に当たって、現状分析を行い、ISO事務局が各店舗に関係する環境法は何かを特定する仕組みを整備した。つまり、どんな環境法が自社の業務にかかわっているか、という問題からCSRの構築を始めたのである。 なぜ、そんな基本的な問題までさかのぼる必要があるのかと思われるかもしれない。 しかし、環境活動が進んでいるといわれる企業の中にも、こうした基本を見落としている店舗や工場が少なくないと筆者は考えている。 西友も現場に問題を抱えていた。当社(エコヒルズ)は依頼を受け、関東地方の1店について環境法の順守状況について実態調査した。その結果、環境法の特定漏れや、記載間違いなどの不備が見つかった。なかには店舗建設の際にゼネコンが作成した施設リスト自体の不備もあった。 こうした実態が明らかになってからの西友の対応は速かった。それまで環境法の最新版管理を各店舗が行っていたが、CSR推進室が中心になって、本部が環境法の最新版を管理する仕組みに変更した。 西友CSR推進室の嵩一成・企画グループマネジャーは、「法律という高い専門性が必要な業務まで、販売のプロである店長に任せてしまっていた。環境法と各店舗の関係を徹底的に見直した結果、環境法の管理を簡素化でき、法律を順守する土台ができた」と話す。 問題明確にした信越ポリマー環境法の重要性は、何か事件が起きた時に重要性を再認識させられるものだ。シリコーンゴムを製造する信越ポリマー児玉工場(埼玉県児玉郡)は、2004年、同工場の送り状の付いた資材が不法投棄現場で見つかり、警察から問い合わせを受けた。結局、排出事業者責任を問われることなく終わったが、この“事件”をきっかけに環境法の管理体制を再構築した。 こだわったのは、廃棄物を担当する現湯の従業員に対して、どの環境法の条文をどのレベルまで教えるかを、 コンサルタントの意見も参考に徹底して考えた点である。それまで廃棄物処理法の排出事業者責任について教育はしていたものの、総論的な勉強にすぎなかった。 まず、自らの工場から出た廃棄物は、「不法投棄させない」といった観点を中心にISO14001へ落とし込んだ。その過程で同工場に必要な環境法の条文などの調査も進んだ。 同工場の新井幸雄・環境保安グループマネジャー兼環境管理責任者は、「環境法のどの条文を理解し、工場から出る廃葉物についてどこまで調査すればよいかが明確にできた。今後は何か起きても地域住民や行政機関に環境法の順守状況をしっかりと説明できると思う」と話す。 法律順守のマネジメントシステムを確立し、不祥事の種を小さくすることは社内だけではなかなか難しい。今回、紹介した3社がいずれもコンサルタント会社の意見を聞いていたのは、その表れでもある。 しかし、上の表で示したようにISO14001の規格に基づいて、自社のマニユアルの一部を改訂すれば順法マネジメントシステムを構築できる。いかに現場を巻き込んでいくかが重要になるが、一度、検討することをお勧めしたい。もちろん、この順法マネジメントシステムは環境法以外でも適用が可能である。 環境法の基本書としては、『排出事業者のための廃葉物処理法完全ガイド』(日経BP)が読みやすくまとまっている。また、環境法の最新情報の入手は、エコロジーエクスプレス(NTTデータ)がよい。 |
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●環境法の順守を強化するためのマネジメントシステム |
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感謝の心で素早く行動する神戸製鋼所長府製造所(山口県下関市)は、ISO事務局の担当者が現場の問題を1週間単位で解決することで従業員や取引先の心をつかみ成果を上げたケースだ。長府製造所は2000年3月にISO14001認証を取得したものの、 2年前までは産業廃棄物の再資源化率(埋め立て廃棄物にならない産廃の割合)が92%にとどまっていた。ところが、2004年4月にISO事務局に石井幹雄氏が就任後、わずか2年で再資源化率が99,9%(2006年度の実績)まで上昇した。 彼が実行したのは、現場からの質問に対して必ずその日のうちに返事をするという基本的なことだった。石井氏は、「その日に解決できない問題は、途中経過でも報告する。現場に課題があるうちに情熱を込めて動くと担当者にやる気が伝わり、現場は変わる」と話す。 こうして石井氏は大きな問題であっても、ほとんど1週間以内で解決した。つまり、現場ではPDCAを1週間で回したわけである。 高炉の製造工程からは、大量の黒鉛が出る。リサイクル業者は大きな黒鉛に比べて小さな黒鉛を高い料金で買い取る。この情報を知ると、すぐに、「大きさで黒鉛を分別すれば、月額で10万円もうかる」と指導した。 石井氏の対応は、出入りの産廃処理事業者との関係でも変わらなかった。打ち合わせでも自社の確認事項については、その日のうちに調査して返答した。収集運搬業者の運転手に対しても、引き取り時間をできるだけゼロにし、いつもお礼を言って信頼関係を築いたという。 この感謝の気持ちは、スピードと同様に社内外の現場の信頼を勝ち得るのに役立った。石井氏は、優先順位が低い環境の仕事を上から強制的に押し付けても限界があると考えて、現場で働く人たちに、「ありがとう」と笑顔で言ってもらえることを目標に仕事を進めたそうだ。 こうして培った人間関係は、本業にも役立った。長年の懸案であった大型設備の解体についても、産廃処理事業者では無く、当初は全く考えもしなかった建築物の解体事業者であれば分別解体のコストが見合うことがわかった。 環境関連のキャラクターを作り、現場のやる気を刺激している企業もある。印刷物を中心に広告などの企画を手掛けるユーメディア(仙台市)は、2000年10月にISO14001認証を取得したが、社員の環境に対する関心は年々低くなった。 同社でISO事務局の補佐をしていた今野彩子氏は、環境活動をするならば楽しくやりたいと考えて、2004年10月「ビッキーとたまを」(ビッキ―はカエル、たまをはオタマジャクシ)のキャラクターをデザインした。 すると、徐々にではあるが環境に関する従業員の意識が高くなり、実際の環境活動も活発になった。小さなことだが各フロアーで管理していた空調の温度設定を無断で変更されることもなくなり、社員の日常会話の中に「ビッキーとたまを」の話題が出るようになった。 今野氏は、「最も大きな効果があったのは、ISO活動に関心の薄かった営業部門が、このキャラクターを営業に使おうと自発的に考え出したこと」と話す。その結果、2005年10月の販促イベントではマスコットにしたキャラクターを登場させると同時に、クールビズ推進のうちわにも印刷した。2006年5月には、地元テレビ局の取材を受けたという。 同社のISO事務局長でマーケティングチームのグループリーダーを務める小幡秀樹氏は、「環境活動は義務感でするものと以前は思っていたが、キャラクターを作ったおかげで現場が自主的に盛り上がってくれるようになった。改めて強制ではなく自主的にやることの有効性を認識した」と話す。 ISO事務局の事務作業の重荷になる内部監査の負担を軽くしたのは、あいおい損害保険だ。本社のスタッフは1600人、内部監査も30部門を対象に20の監査テームが担当し、報告書を積み上げると高さは数cmに達した。ISO事務局は内部監査の時期になると、各部門との連絡や報告書の修正指示、督促業務などに追われたが、仕組みの改善で事務の負担を大幅に軽減した。 「見える化」で競争心を刺激具体的には、内部監容の計画、報告書、是正措置、効果確認、フォローアップ幣容の報告すべてを1枚の様式で管理できるように改め、社内の電子掲示板に張り付けた。内部監査員一人ひとリが記入する仕組みに変えたのだ。社内掲示板による「見える化」により、内部監査を終了していない部門が浮き彫りになったため、各部門に競争心が芽生え、報告のスピードも格段に上がったという。 このケースは、当社(エコヒルズ)がお手伝いした。あいおい損保CSR推進室の山田明部長は、「仕組みの改善を検討した時、エクセルの独自の表ソフト1つでISO14001のシステム全体を管理するという発想が良いヒントになった。私も大変楽になったが、各部門の担当者にとっては意味のわからない事務作業が大幅に減り喜ばれている」と話す。 3社の取り組みは、現場の立場にたって考えると、少ないコストで大きな改善の余地があることを教えてくれる。 |
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あいおい損保の内部環境監査ワークシート(一部抜粋) |
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| ①自己チェック、②内部監査報告、評価結果、③原因と対応計画、④実施・効果確認、⑤フォローアップ監査を1枚のエクセルの表で見えるようにした。社内ウェブで公開し、各部門の競争意識も刺激した | |||||||||||||||||||||||||||||
現場の特性に合わせ絞り込む松下電器産業で研究開発を担当する本社のR&D部門は、重点テーマを明確にした監査や内部監査員の選任を工夫して、内部監査の有効性を高めた例である。R&D部門は多くの特別な施設や実験機器を備えている。研究所ごとにその種類も違うため、対応する法令やリスクなども多様化している。 以前は一般的なチェックリストに沿って内部監査を実施してきたが、昨年度から重点テーマを現場の特性に合わせて絞り込んだ内部監査に変更した。 例えば、化学物質を扱うデバイス関連の職場は、環境・安全衛生のリスクや環境負荷の度合いが高い。そのような職場では特定作業の教育計画やその進ちょく状況、職場の管理状態などに重点を置き、法的な対応も含めて見る監査に改めたのだ。 さらに、内部監査の客観性を高めることを目的に、普段は交流があまりない本社の環境本部のメンバーやISO9001(品質管理)、OSHMS(労働安全衛生)の担当者を内部監査のメンバーに招いた。 R&D部門サステナビリテイ推進グループの伊東健治チームリーダーは、「環境本部のメンバーは松下電器グループ全体を把握しているので、R&D部門の内部監査員に比べ広い視点で監査ができた。こちらの内部監査員も勉強になり、監査のレベルを上げることができた」と話す。 ISO9001などほかのマネジメントシステムに詳しい社内の専門家からアドバイスを受けたことも、監査を受けた職場には新鮮であったようだ。こうした新しい方法に変えたことがきっかけとなり、監査を受けた研究所などから事務局への要望や意見を収集できたという。 どのような経営手法であっても、同じことを繰り返すだけでは緊張感を維持するのは難しい。内部監容も同じで、手法を変えて新味を出す工夫は大切な視点だろう。 ISO14001は、PDCAで環境マネジメントシステムを回していく。だからこそ、社内事情に精通した監査員による内部監査の改善が、活力のあるISOによみがえらせる早道になる。だが、具体的に何をすればよいかわからずに悩んでいる企業が多いのではないだろうか。 この点、NECは早くから内部監査員の監査レベルの向上に取り組んでいる。NECのユニークなところは、内部監査員の力量を毎年、評価している点である。 NECには、22人の主任監査員と56人の監査員(2005年度)がいる。監査員の評価は、監査を受けた職場が監査チームを評価すると同時に、主任監査員が監査に同行した各監査員を評価するダブルチェック方式で採点する。 採点は5点満点の5段階評価。点数化で監査のレベルが一目瞭然となり、その結果は個人にもフィードバックされることから、おのずと監査に緊張感が生まれるという仕組みだ。 もっともNECでは評価をするだけではなく、その前段階としての内部監査員研修にも力を入れる。昨年度からは内部監査員の研修プログラムを改善し、分野別教育を取り入れた。 分野別教育の導入は、本業とのかかわりを重視した内部監査の強化が狙いだ。上の表で示したように、ハード製品関連の部署を担当する内部監査員には、RoHS(有害物質使用制限)指令対応や鉛フリーの最新情報について、ソフト・サービス関連の部署を担当する内部監査員には環境負荷評価の制度と仕組みなどについて教える。この分野別教育も、新しい感謝の視点を持たせることで、マンネリ化を防止する試みである。 内部監査の“外注”もここまで大企業の2つの事例を紹介してきたが、中堅・中小企業では内部監査員の養成がままならないケースも少なくない。そうした場合は、思い切って内部監査を外部のコンサルタント会社に出してみてはどうだろうか。自動車用コネクターなどの製造を手掛けるイリソ電子工業(川崎市)茨城工場は、2000年11月にISO14001認証を取得した。だが、ISO事務局の担当者の退職とIS014001の2004年版改訂作業が重なり、2005年10月にISOのマネジメントシステム診断と内部監容を当社(エコヒルズ)に委託した。 その結果、ISO14001の活動が沈滞していたり、 リサイクル率が低迷しているのは、マネジメントシステムが多すぎて現場が混乱していることが原因とわかった。当時、同社ではISO9001、 さらに自動車産業に関連した品質の国際規格ISO/TS16949認証を取得中で、現場はルールがありすぎてどれもよくわからないという状態に陥っていたのだ。 この監査結果によって、まずISO14001のスリム化を実施した。現場の負担を減らすために、茨城工場では、目的・目標を「6S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ、作法)」に絞り、原点に立ち返った。 その結果、約1年間で環境マネジメントシステムが息を吹き返した。6S活動の巡視評価の結果では、茨城工場の11部門すべてが90点以上を獲得し目標を達成した。茨城工場管理グループリーダーの青木宏氏は、「ISO14001が息を吹き返し、品質管理の原点ともいえる整理整頓など当たり前のことができるようになった。お客様からも対応が丁寧だとの声が多くなり、ルールを守る意識が芽生え始めた」と言う。今年になってからは、環境部も発足した。内部監査のアウトソーシングという常識にとらわれない発想が、ISO14001をよみがえらせたわけだ。 3社の事例は、 内部監査のやり方を工夫することで、 内部監査やISO14001自体のマンネリ化を打ち破る可能性があることを教えてくれている。 |
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NECの監査員分野別教育の主な内容 |
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| NECの内部監査員教育は1日半かけて実施する。2日目の午後に開かれる内部監査員の分野別教育は、監査の対象ごとに4つの分野がある。 | ||||||||
ここがポイント |
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1.受ける側の事情に合わせ目的を明確にする 2.監査結果を評価するなどの仕組みを取り入れる 3.内部監査を外注し外部の視点を参考にする |
CSR推進室を設置する企業も増えているが、具体的に何から始めたらよいか苦慮する企業も多い。今回は、ISO14001をCSRやリスク管理のための有効な手段として活用しているケースを紹介したい。 県主催の環境フェアに出展日立製作所水戸事業所は、地域の環境フェアに継続して参加し、環境コミュニケーションの輪を社内外に広げることに成功している。同事業所は、1997年にISO14001認証を取得後、環境コミュニケーションに対する関心が高まり、2001年からは茨城県主催の環境フェアに出展している。その後、環境報告書を発行し、地元の公民館に環境報告書のダイジェスト版を置く活動も始めた。半年ほどで約30部が無くなった、という。 環境フェアヘの出展に当たっては、予算が少なかった分、ISO事務局では工場内の他部門から協力を得なければならず、結果として社内を巻き込むことができた。環境フェアは、毎年秋に2日間、県内の公園で開かれる。ブース内での説明員の派遣やパネル制作は、営業や設計部門との交流につながった。 このほかにも地域の環境問題に関心の高いNPO(非営利組織)や企業、公共団体など社外の知り合いも増え、情報交換できるようになったそうだ。水戸事業所環境管理グループの岩田竜一氏は、「展示ブースを見ていただける地域の方は、毎年、2日間で約500人になる。対面のコミュニケーションなので単に環境報告書を置くよりも効果的」と話す。 環境の展示会は、環境関連の取り組みだけではなく工場全体を知ってもらえるのでメリットは大きい。さらに、岩田氏は、「工場内の仕事内容を知ってもらえるので、 トラブルが発生した時でも正しく認識していただけるのではないか」と話す。 リスク管理には双方向のコミュニケーションが欠かせないことから、こうした試みは有意義なものといえるだろう。 ISO事務局の担当者が、リスク管理として避けて通れないのが産業廃棄物などの処理の問題である。 ISO14001認証を取得すると産廃のマニフェスト票の管理は審査でも暗黙の確認事項となっているので徹底している企業が多い。しかし、産廃処理事業者の管理となると契約書の確認だけにとどまる企業も少なくない。 この点、グループ411サイトでISO14001の統合認証を取得したコニカミノルタは、不法投棄などの不適切な処理のリスク回避を徹底している。特に重点的に取り組んでいるのが産廃処理事業者の管理で、事業者の選定ルールを定めグループの共通基準として運用している。 具体的には、新たに委託先を選ぶ場合は、事前調査と訪問調査の結果をグループ共通の事業者評価票にまとめることを義務づけている。 右の図で示したように、ウェブ上に設けた業者審議システムの中で、申請、承認、議論のための電子会議を実施。最終的には廃棄物審議委員会で、総合的に評価して決裁する仕組みだ。 訪問時の調査は、適正処理の確認だけでなく、安全面への配慮や清掃状況などにも及ぶ。訪問時に問題点を発見した場合は、改善を要求した上で委託を始める。このため、このルールの導入後、取引のある産廃事業者が事故を起こすことはほとんどなくなったという。 「排出処理依頼表」に工夫こうした管理の徹底に加え、コニカミノルタグループの優れた点は、委託事業者とコミュニケーションを緊密に取り、精度の高い情報を共有している点である。同社は、かつて委託した産廃処理事業者が危険な処理をしている現場に遭遇した経験がある。 その反省に立って新規に排出物が発生したり、排出物の性状に変化があった場合、その部署が「排出処理依頼表」を作成し、環境管理部門へ提出することにした。 環境管理部門は、その内容から適切な産廃処理事業者を選定する。排出物のサンプルとともに「排出処理依頼表」の一部を産廃処理事業者にも渡すことで、廃棄物に関する情報の共有を図っている。 同時に環境管理部門では、事業者を決定した後に「排出処理依頼表」の写しを担当部署にも返却する。情報をデータベースとして蓄積し、担当者の変更や工場内の処理工程が変更した時にも廃棄物情報が混乱しないように対応している。 この「排出処理依頼表」は、産廃の形態や取り扱い上の注意に加え、その組成まで記載されており、廃棄物データシートの先駆けになった。 ISO14001をいかにリスクマネジメントに役立てるかは、いまや認証を取得した事業所の共通の関心事になっている。2004年6月にISO14001認証を取得した横浜市でも、一定の成果を上げ始めている。 同市の職員数は4万4000人に上り、人為的なミスによるリスクも高い。ミスを減らすため、横浜市は法令順守の評価を3ヵ月に1回実施し、国や県などに対する届け出に漏れが無いかをチェックする。 同時に横浜市は情報の開示を積極的に進め、 リスクを回避している。市民や企業の代表者で構成するアドバイザー委員会を設置し、年に4~5回、市の環境活動に関する取り組みを開示してアドバイスを受けている。 この委員会のメンバーは、ISOの内部監査にも立ち会い、終了後には講評もするという。このほか横浜市は環境問題にかかわらず問題が起きた時には、すぐに記者発表をする体制を整えている。 この3件の事例は、CSRやリスク管理の観点からも情報開示と双方向のコミュニケーションが重要であることを教えてくれている。 ●コニカミノルタの廃棄物業者選定システム |
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コニカミノルタグループは廃棄物処理事業者を選ぶ時に厳しい選定基準を設けリスク管理をする。ウェブ上に設けた業者審議システムが特徴だ
ここがポイント
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