一般社員の意識も変えるこの取り組みの面白い点は、同行して参加した一般社員の環境意識も変えている点である。山の中で額に汗を流しながら、苗木を植える活動は即効性があり、参加者は社内での環境活動についても前向きになる。 廃棄物の分別を徹底するようになるだけでなく、化学物質審査書類を期限内に提出するようになった。参加した社員の中には自主的に公害防止管理者などの資格を取得する人も出ているそうだ。 このケースは、環境意識を植え付けるというISO事務局の明確なメッセージが、一般社員にも受け入れら れた好例と言える。同社の生産・環境推進部環境シ二アエキスパートの内田信夫氏は、「エコツアーの費用は1人当たり1万2000円程度で済む。環境に関する教育効果も高いのでお勧めしたい」と話す。 先月号でも紹介したが、ISO事務局の継続した取り組みは環境教育の場面でも有効である。集合住宅などの建物管理を手掛けるアーバンシステム(東京都練馬区)は、 5年前にIS014001認証を取得した。その当時から、毎月開いている全社員ミーティングの中の5分間を、必ず環境問題に当てている。 環境目標の達成状況の報告などもあるが、ユニークなのはISO事務局が必ず環境に関する時事的な問題を取り上げる点である。単に話すだけでなく、「環境通信」と題した簡単な資料(A4サイズで1枚)を配布する。あえて資料を作成するのは、ISO事務局が社員に環境問題をより身近にとらえてほしいと考えているからだ。 次ベージの表で示したように配布される資料には、その時々に話題に上った環境用語や、関係する環境イベントの紹介などを書いている。 2006年12月号の「環境通信」では、「『木づかい運動』のすすめ」というタイトルのもと、3枚の写真と共に林野庁が進めている。通常の森林に比べてCO2を吸収しやすい森林作りを紹介している。 「環境通信」は1年ほど前から、一部の得意先などにも送り好評を得ている。2006年9月号でエコファンドを取り扱った「環境通信」を送った時には、不動産関係の主力取引先の部長から励ましの連絡があったという。 同社の小柴卓人社長は、「職人気質の従業員が多く、環境意識を向上させるのには苦労してきた。しかし、最近は従業員が取引先から環境への取り組みを誉められるケースが増えている。環境教育を継続していることで従業員の意識が向上している」と話す。 この数年で急速に広まった環境eラーエングでも、漠然と環境教育のコンテンツを作成している企業が多い。この分野でも何を学んでほしいかを明確にすると、従業員の反応が良くなる。 NTTデータは、グループ会社の派遣社員まで含めるとISO14001の受講対象者が約2万3000人になる。だが、環境eラーニングで99%という高い受講率を記録している。ISO事務局が受講の依頼を何度もするなど地道な取り組みをする一方で、教育コンテンツの良さが従業員に受け入れられている。 2006年度の環境eラーニングは、前年度のeラーニングのアンケート結果やIS014001の内部監査の指摘を参考に作成した。同グループの環境活動の取り組みのほかには、廃棄物処理の法令違反リスクと環境に配慮したシステムの開発に絞ったコンテンツになっている。マニフェストを具体的に説明対象を絞った分だけ具体的な内容になっており、従業員の評判も良い。例えば、廃棄物管理のリスクのペー ジは、「システムの更改時の廃棄物管理」というケーススタディーを紹介しながら、マニフェスト伝票の重要性が示されている。 その次のページでは、このケースにおけるリスクのポイントを示している。マニフェスト伝票の管理義務違反となった場合にどんな処罰が下るか、そのような事態を未然に防ぐには、どんな運用をすべきかを紹介'している。 NTTデータ環境保護推進室の原田彩子氏は、「今回、eラーニングの作成に当たっては、前年に起きた運用上の課題にポイントを絞ったことが93%の受講者の満足度につながった要因の1つだと思う。来年からは、これまでよリー人ひとりのパフォーマンスが向上するようなコンテンツを作成したい」と話す。 環境教育は、ISO事務局の意欲と受け手である従業員の意識の落差が大きな分野である。「環境教育を受けるのは、どちらかと言えば面倒くさい」という従業員の心理を前提に何をするべきかを検討をするとよい。今回のケースに共通するのは、こうした従業員の抵抗感をうまく取り除いている点である。 |
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●アーバンシステム環境通信の主な内容 |
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